書評

書評『チーズはどこへ消えた?』

変化を恐れず、楽しく生きていくための『チーズはどこへ消えた?』

『チーズはどこへ消えた?』はこんなひとにおすすめ

変化をおそれずに生きたい人へ

本書のタイトルにあるチーズとは「私たちが人生で求めるもの」を表しています。

それはお金や仕事、もしくは家族や恋人かもしれません。自由や健康、他の物かも。

私たちは努力して「チーズ」を手に入れようとします。

しかし、人生は「チーズ」を手に入れても一生幸せで居続けられるしょうか。

「変化」は誰にでも訪れます。

一生、そこにあることを約束された「チーズ」はありません。

例えば、仕事はクビになったりし、離婚の危機がおとずれたりするかもしれません。病気や、転勤で引っ越すことも起こりえます。

『チーズはどこへ消えた?』は、そんな当たり前のことを自覚し、自分が求めるものを手に入れたい、あるいは失いたくないと思っている人に読んでいただきたい一冊です。

読書に苦手意識をもっているひとへ

総ページ数が96ページと薄く、物語形式の作品なので、読書が苦手な方も気軽に読めます。

薄い本ながら、ためになる内容が詰まっていますので、ぜひ手に取ってその内容を確かめてみてください。

 

『チーズはどこへ消えた?』で何が学べる、何がどう変わる

変化による恐怖との向き合い方がわかる

本書は、高校のクラス会を機会に集まった同級生たちが、物語「チーズはどこへ消えた?」を聞いて、学び、互いの悩みを話し合うという構成となっています。

例えば、物語に登場する小人のホーは、「変化」が死ぬほど怖いと考えていました。

しかしホーはすこしずつ歩みを進め、恐怖と向き合うことで次のようなことを悟ります。

失ったものではなく、これから手に入れるものを明瞭に考えつづけることで恐怖が薄れる、と。

この物語を聞いて話し合ううちに同級生たちは考え方が変わり始めます。

  • 「新しいチーズ(変化によって得られるもの)を想像する」ことで恐怖を乗り越え、楽しみながら新しいチーズを手に入れよう。
  • 家庭で生活が変わるような変化が起きたときには、家族に新しいチーズ像を描いてみせ、変化は決して悪いことではないと示すべきなんだ。

このように『チーズはどこへ消えた?』は、物語を自分に当てはめて考え、「変化」のとらえ方と対処方法、そして恐れずに生きていく方法を学べる内容になっています。

 

『チーズはどこへ消えた?』の奥付き情報(ジャンル、出版社、著者情報、出版年)

ジャンル:人文・思想・哲学/自己啓発/人生論

(本の奥付より)
出版社:株式会社 扶桑社

著者:スペンサー・ジョンソン(Spencer Jonson, M.D.)

医学博士、心理学者。心臓のペースメーカー開発にもたずさわる。現在は、さまざまな大学
や研究機関の顧問をつとめ、シンクタンクに参加する一方、著作活動を続けている。その功績を認められ、ハーバード・ビジネス・スクールの名誉会員。主な著書に、『1分間マネージャー』(共著)『1分間意思決定』『人生の贈り物』他、多数。

訳者:門田美鈴(かどた みすず)
翻訳家、フリーライター。

主な訳書に、スペンサー・ジョンソン『人生の贈り物』『1分間意思決定』、ハリー・デント『2000年 資本主義の未来』他、多数。

出版年:2000年(初版第1刷)

『チーズはどこへ消えた?』のあらすじ、要約

共通の悩みをもつ同級生たち

高校のクラス会で久しぶりに集まった同級生たち。

互いのことを話している中で、全員がある共通点をもっていることを知ります。

みんな、仕事や私生活における思いがけない変化に、うまく対処できていないという悩みを抱えていたのです。

するとメンバーの一人、マイケルが自身の経験を語り始めます。

「チーズはどこへ消えた?」という物語を聞いたことで、変化にうまく対応できるようになったと。

物語「チーズはどこへ消えた?」の学び

あるところにスニッフとスカリーという二匹のネズミと、ヘムとホーという二人の小人がいました。

食料にするため、そして幸せになるために、彼らはいつも迷路でチーズを探しまわっています。

それぞれの方法でチーズを見つけ出した二匹と二人。

しばらく充実した日々を送る二人の小人は、壁に格言を書きました。

「チーズを手に入れれば幸せになれる」と。

ところがある朝、そのチーズがなくなっていたのです。

「自分のチーズが大事であればあるほどそれにしがみつきたがる」

チーズがなくなった後、二匹のネズミはすぐに次のチーズを探しにかかります。

ところが、二人の小人は動き出せないまま。

苦労して手に入れたチーズがなくなった現実を、受け止められなかったのです。

チーズを見つけて幸せを手に入れたと安心していた二人は、「おかしい」「こんなことになるわけがない」と意気消沈していました。

ホーは壁にこう書きました。「自分のチーズが大事であればあるほどそれにしがみつきたがる」と。

「もし恐怖がなかったら何をするだろう?」

チーズをなくして動けずにいた二人でしたが、ホーは新しいチーズを探しに再び迷路に入らなければならないと考え始めます。

ヘムも誘いましたが、彼は賛同しません。

ひとり新たな迷路に足を踏み出そうとするホーですがなかなか一歩を踏み出せません。

長い間その場所にいたために、他の場所ではチーズはみつからないと思い込み、恐くて身動きがとれずにいました。

恐怖を乗り越えたいと思うホーは、目の前の壁にこんな言葉を書きます。

「もし恐怖がなかったら何をするだろう?」。

しばらく考え込んだ後、恐怖は危険を察知するために役立つこともあるけれど、恐怖のあまり何もできなくなることもある、ホーはそう考えて見知らぬ地域の迷路へと進んだのです。

同級生たちは物語を聞きながら話し合います。

「チーズが消えた」という変化に対して、ねずみのスニッフとスカリー、小人のヘムとホーが取った行動から、自分はどのキャラクターに当たるのか。

そして「変化」を怖れているか、「変化」に対してどう行動すればいいかを考えます。

本に登場する同級生たちと一緒になって物語を聞き、「変化」について考える機会をくれる内容になっています。

 

『チーズはどこへ消えた?』のamazon口コミ、感想を解説

Amazonでは★4.2の評価を得ています。

レビューの件数は800件を超え、2000年に初版が出版されてから、現在も読まれている作品です。

口コミのなかには、

「変化の大切さに気づき、変化を楽しもうとする自分が誕生しました!」

「変化に立ち向かう勇気と、それを楽しめる本能が本来、人には備わっているのだと気が付いた。」

amazonレビュー

といった良い評価があります。

この本の内容が、「変化」の大切さに気づかせてくれ、「変わることへの恐怖」を取り除いてくれるようです。

一方で、

「当たり前のことが書いてあるだけ」「つまらなかった」

amazonレビュー

という評価もあります。

少ないページ数で世の中の多くの本にあるエッセンスが凝縮された作品なので、自己啓発書をたくさん読んできた人は目新しさがないと感じたのかもしれません。

しかし本質をつく内容なので学びも深いといえます。

次のような評価もあります。

 

「説教臭くて嫌になる。しかし、星5。
説教臭くて、面白くない。我慢して読んだ。96ページしかないから全部読めた。
この本に書いてあることなんて、皆 わかりきってるだろ!
しかし本書は、「皆、わかっちゃいるけど、できてないでしょ?」って部分に、活を与えてくれた。
悔しい。
読み終えて、心が変わった。
自分の中の一番変えにくい部分を変えてくれたようで、嬉しい。」

 

「分かっていたけどできてなかった、そんなことたち。
就職活動で悩んでいるこの時期に手に取り、読みました。理想や夢がたくさんある。それは良いことでもあり、時に自分の足を引っ張るものにもなりうる。私はまさにこの瞬間まで自分のチーズに必死になってしがみついていました。

人間ゆえに抱いてしまう複雑な感情や思考は自分自身の中で勝手に作られてしまうものだったりもします。自分でも意識してない中でとても臆病になってしまっているとこの本を読んで自分自身に対して感じました。またそういう人ってたくさんいるのではないかな、とも思うのです。

変化を恐れない。分かってはいるけれどもできていなかったこと。
今何か新しい"変化"を迎えようとしている人にぜひ読んでほしいです。背中を押してくれる言葉に出会えるはず。」

この本は、「当たり前」「分かっている」だけど「できなかった」ことに、向き合わせてくれる内容になっているといえます。

「変わりたいけど変わらない人必見」「変化の激しい時代に生きるための重要なメッセージが込められた一冊である」という感想もある『チーズはどこへ消えた?』。

「変化」を恐れず、前に進みたい人は、一読する価値のある作品ではないでしょうか。

 

『チーズはどこへ消えた?』のオーディオブック、電子書籍、映画化、漫画版有無

『チーズはどこへ消えた?』は、紙の書籍、電子書籍、オーディオブックで楽しむことができます。

漫画版もあります。

  • オーディオブック:有、Audible:有、audiobook.jp:有
  • 電子書籍:有
  • 映画化:無
  • 漫画版:有・・・『マンガでわかる チーズはどこへ消えた? 』2020年 扶桑社BOOKS

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