幽霊も怪物も登場しない。超常現象も一切なし。
それでも背筋がゾクゾクする恐怖を存分に味わえるのよ。
い、一体何がそんなにこわいの?
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登場キャラクター
ホンサンザルの一匹。 電子書籍好きのクールなメス猿で、鋭い切り口で電子書籍や本を紹介する。
『キカザル』なので聞こえていないはずだが悪口にはすぐに反応する。口の動きから会話を推測という説も。
ホンサンザルの一匹。オーディオブック好きの元気いっぱいなオス猿で、とにかくオーディオブックをごり押ししてくる。
『ミザル』なので見えない。実は薄目でのぞいていることがあるとか。
気弱な新社会人。もともと本が苦手。
仕事が失敗続きで落ち込んでいたところ、ホンザルたちに出会い本の良さを学び始める。
黒い家はこんな人におすすめ
よくあるホラーを見飽きた人に
ただひとつ、サイコパスという点をのぞいて。
サイコパスとは、精神病質者のこと。
サイコパスの主な特徴として挙げられるのが感情の一部が欠如しているという点である。特に自分以外の人間に対して、愛情であったり思いやりであったりなどといった感情が欠如しているため、非常に自己中心的な言動や行動を取ってしまう傾向にある。また、道徳観念や倫理観、恐怖などに関する感情もない傾向にある。引用:weblio辞書
誰の身にも起こりそうなところがメッチャクチャ恐いんだよ。
ほーら、生活に染み込んできそうでしょ。
保険業界の内情や裏側を知りたいひとに
保険金詐欺・殺人疑惑をめぐってストーリーが展開していくのよ。
著者の貴志(きし)さんが実際に保険会社に勤務してたんだから。
保険会社の仕組みとか内情描写にリアリティがあるのも当然よ。
ほかにも、外国債券投資部門が保険会社内にあることもこの本でわかるわ。
なんと宇宙船の事故まで起こり得るって考えられてんだぜ?
すげえビックリしたぜ。
この小冊子では現実に起こり得るであろう、ありとあらゆる死亡事故の状況を想定しているため、分類は詳細多岐にわたっている。(中略)『845 :宇宙船事故』や『996:戦争行為に基づく核兵器による障害』といった今日まで一度も使われたことのない『処女コード』もいつの日か出番が来るのをひっそりと待ち続けていた
引用:黒い家本文より
黒い家を読んだらこんな気分になる
五感に訴えかける不快感
京都の夏って蒸し暑いことで有名でしょ?
このジットリした空気と、犯人の執拗さとか不気味さが重なって、恐怖がひたひたと押し寄せてくるのよ
『ニオイ』がすげえんだ。
若槻がはじめて『黒い家』に入ったときのニオイって言ったら、そりゃもうハンパじゃないぜ。
想像するだけでも顔をしかめずにはいられないわ。
心理学や昆虫に興味がでてくる
だから夢とかイメージの中にいろんな虫がでてくるんだよ。
若槻の恋人の恵(めぐみ)が大学院で心理学を学んでいる影響かしら。
若槻も心理学的観点で黒い家の住人を調べていくの。
- 事件にさいなまれて見る彼の夢
- 夢に出てくる虫の意味
- 心を持たない虫とサイコパスの対比
こんなところも黒い家の見どころよ。
黒い家に関するデータ
- 著者:貴志 祐介(きし ゆうすけ)
- ジャンル:ホラー小説
- 出版元:角川書店
- 出版年:1998年12月
- ページ数:392ページ
著者情報
1959年大阪生まれ。京都大学経済学部卒。生命保険会社に勤務後、作家に。1996年「ISOLA」が日本ホラー小説大賞長編賞佳作となり、『十三番目の人格 ISOLA』と改題して角川ホラー文庫より刊行される。
翌年『黒い家』で第4回日本ホラー小説大賞を受賞、100万部を超えるベストセラーとなる。2005年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、2008年『新世界より』で日本SF大賞を受賞。
2010年刊行された『悪の教典』は第1回山田風太郎賞を受賞したほか第144回直木賞の候補ともなり、その年の話題を独占した。他の著書に『クリムゾンの迷宮』『青の炎』『ダークゾーン』など。
黒い家の小説のあらすじ
黒い家でのできごと
主人公の若槻(わかつき)は、ある大手生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定業務を担当していました。
朝から多くの死亡書類に目を通し、あの手この手で保険金を手にしようと企む人間やクレーマーに対応する過酷な業務です。
ある日、顧客からのあやふやな苦情で指名があったと伝えられた若槻は、指名の理由がよくわからないまま嵐山近くの家を訪ねます。敷地こそ広いものの、ひどく老朽化が進んだ『黒い家』でした。
家主である菰田(こもだ)に続いて家に足を踏み入れたとたんに、強烈な異臭が若槻の鼻腔を襲います。
早く理由を聞き出して帰りたいと願う若槻をよそに、菰田は息子の和也に顔を出すよう奥の部屋に向かって声をかけます。
妙に芝居がかった仕草でした。
そして菰田にうながされ、その部屋のふすまを開けた若槻が目にしたものは、男の子の首つり死体−−。
立ち尽くす若槻がふと我に返り横を見ると、若槻の反応をじっと観察している菰田がいました。
執拗な保険金請求
若槻は警察の事情聴取でも社内でも他殺の疑いを主張します。
そして事件から1週間後、菰田から保険金の請求書類が届きます。
和也には500万円の生命保険がかけられていたのです。
しかし死因に疑いがあるため調査が入ることになりました。その間もちろん保険金はおりません。
菰田の過去の保険契約から、菰田が『指狩り族の残党』であったことが判明。
『指狩り族』とは、障害給付金を取るために自分で自分の指を切断した人々のことです。
しばらくすると、菰田は毎日のように保険金催促の電話をかけてくるようになりました。
クレーマーのように声を荒げることはなく、ただ淡々と。それでも着実に支社全体の緊張感が増していきます。
さらに今度は支社を訪れるようになりました。毎日欠かさずやってきては保険金はまだかと尋ねます。
暴力をふるうことも脅迫的な態度をとることもなく、おとなしく帰っていくことがさらに不気味さを若槻に感じさせ、いつか爆発するのではないかという恐怖を植えつけていきました。
犯罪心理学専門家からの忠告
死体発見以来、悪夢に悩まされるようになっていた若槻は、事件の早期解決を図るため独自に調査を開始します。
次々と明らかになる菰田夫妻の不気味な過去。
その間にも菰田の訪問は続き、異常さは増していきます。
精神的に追い込まれた若槻は、恋人である恵(めぐみ)のツテで心理学者の醍醐(だいご)教授と犯罪心理学専門の金石(かねいし)助手の元をたずねるのでした。
それから数日、菰田に興味を示した金石がふいに支社にやってます。
盛んに菰田に話しかける様子を目にした若槻が『勝手に来て本人と話をされるのは困る』と言うと、金石は『菰田はサイコパスの可能性があり、このままではあなたが殺されるおそれがある』と警告しました。
その日若槻が帰宅すると、届いていた郵便物が何者かに盗み読まれた形跡が・・・
ここからストーリーはさらに緊張感を増していきます。続きはぜひご自身で!
黒い家のamazon評価、感想
実際に口コミをいくつか見てみましょう。
高評価(星5つ)のコメント、感想
怖いのに先が気になる (抜粋)
ホラーやサスペンスには耐性があると思っていましたが、理性を狂気に塗り替えられた人間の恐ろしさに、読むのをやめることが出来ませんでした。読んでいるのが満員電車という、知らない人の多い空間だったのも良くなかった......
世の中で一番怖いのは、ヤクザでも幽霊でもなく、この手の存在….。って感想もあったわね。
『映画を観ていない人は、読み較べをしたら面白いでしょう。映画を観た人は、俳優の内野聖陽(まさあき)さんが演じる若槻と小説版の若槻を較べてみるのも面白いでしょう。』
低評価(星1つ)のコメント、感想
主人公とヒロインにイッライラ!!
オススメのホラー小説と言えば?と、不特定多数に聞いたら絶対に名前が挙がる黒い家。
前から読んでみたかったので期待しすぎたのかもしれません。
もう、主人公とヒロインに苛々して後半は読むのが苦痛に。
自分の命も守れないくせにやっすい正義感で首を突っ込む。(後略)
他の人も書いてるけど主人公の彼女が一番理解できない。一番のサイコパス。
主人公の愚鈍さに終始イライラする作品でした。
よ、よし。週末にでも気合い入れてみてみようかな。
電子書籍 | amazon kindle、楽天kobo |
オーディオブック | audiobook.jp、audible |
映画化 | 1999年公開 監督:森田芳光、主演:内野聖陽、大竹しのぶ 他 |